無敗の男 中村喜四郎 全告白(常井健一著)文藝春秋

こんにちは、千葉県市川市の社会保険労務士 渡辺 巖(いわお)です。 

 

先日、「無敗の男 中村喜四郎 全告白(常井健一著)文藝春秋」という本を読みました。中村喜四郎という名は、はるか昔に、若くして建設大臣になり、自民党現職国会議員としての逮捕(1994年)と実刑判決での刑務所への収監、さらに出所後の選挙でなぜか当選した人という記憶です。当時、選挙民はどれだけ騙されているんだろうかというのが私の印象でした。刑務所から出てきた人がなぜ国会議員に当選するのか?誰が聞いてもおかしな話だと思います。

 

中村喜四郎氏は、このような過去があるにもかかわらず、また無所属にもかかわらず、ずっと当選し続けています(落選したことがない、つまり無敗ということです)。選挙の神様といわれていますが、本を読んで感じることは、マジックはなく、地道な活動を毎月繰り返して得た信頼による当選ということが分かります。20代後半に初めて選挙に出る前の4年間、選挙区内のほとんどの家を戸別訪問しています。団体票はなく個人票のみなんですね。国会議員になって40年以上経った今でも、毎月本人が選挙区内を車で2周しているという活動。実際の選挙では、本人がバイクに乗って朝から晩まで選挙区内を巡るというもの。本に出てくる「必死さ」という言葉が印象的でした。

 

中村氏は事件のこともあり、これまでマスコミに出てこなかったようです。それが一転、今回、自伝のような本が出版されました。私が中村氏を思い出すきっかけとなったのは、1年少し前の朝日新聞の記事でした。安倍首相(当時)による一方的な政治により、このままでは日本が持たなくなる危機感から自分が一歩を踏み出すことにしたという内容です。菅首相についても同様、かつての自民党の首相は反対意見を数の力で押し切るのではなく、反対意見に謙虚に耳を傾ける謙虚さがあり、それが一番大切なことだったのに、現在の状況はいかがなものかと。国民もこのような政治に背を向けてしまい、政治を諦めている、これではいけないということでした。目指すは与野党伯仲。政治に緊迫感をもたせないといけない。いきなりの政権交代は考えておらず、地方選挙で少しずつ勝っていき、最後に自民党が今のような状態なら政権交代もありと考えているようです。無所属でも自民党寄りにいた方が舵を切ったことに意味があります。現在は、立憲民主党に入党し、選挙応援等で活動されているようですが、こういう政治家がいてくれてほっとしています。国民に政治を諦めさせない、一番大事なことです。