雇用調整助成金の支給申請

こんにちは、千葉県市川市の社会保険労務士 渡辺 巖(いわお)です。 

 

新型コロナウイルスによる売上減少に対し、雇用調整助成金が注目されています。大まかな手順は、1か月の休業計画を提出し、それに基づく休業後に実際の支給申請を行うという一連のサイクルを繰り返すことになります。先日、今回分の支給申請と次回分の休業計画をハローワークに提出しに行ったところ、休業計画は一番最初に提出するのみで2回目以降は不要になったといわれました(急な変更です)。手続が簡素化されてきていることは、なんとなく感覚として分かるのですが、とにかく頻繁に変更があり(5月の連休明けにもあるようです)、我々社会保険労務士でも最新情報を把握しているとは言い難い状況です。そうなると、一般の事業主が手続きをすることは、役所側は簡素化しているとはいうものの、何が何だか分からないというのが実状ではないでしょうか。

 

支給申請においても、前年度の労働保険料の申告書の数字や所定労働日数が必要です。賃金台帳、出勤簿も必要です。社会保険労務士が関与していない小さな会社であれば、そんなものはないという事業主も少なくないと思います。

 

さかんに休業手当の9割(そのうち全額)を国が補てんするように報道されています。その中で、8,330円が上限という数字が出てきますが、これは8時間勤務の人については、最大時給1,041円(=8,330円÷8時間)を補てんしますということです。月給30万円の人に全休のため休業手当30万円を支払った場合、せいぜい6割の補てんです。30万円の9割であれば27万円の補てんと考えますが(事業主負担は3万円)、実際は6割の補てんとなりますから18万円となります(事業主負担は12万円)。私も支給申請の際に、8,330円の重みを実感した次第です。

 

雇用調整助成金は、上記のように、事業主の負担を軽くする効果がありますので絶対活用すべきですが、あまり過度な期待はされない方がよいように思います。非常に困難な状況ではありますが、持続化給付金や地方自治体独自の助成金・給付金も活用してこの緊急事態を乗り越えていきましょう。